ファンダメンタルズ分析

低PERの株に投資しても利益は出ない

株式投資をやっている人なら誰もが知っている指標であるPER。これは株価収益率といって株価に対してその企業がどれだけの収益を上げられているのかを示す指標です。

計算方法はPER=株価÷EPS(1株あたりの利益) ※EPS=純利益÷発行済株式数

もしくはPER=時価総額÷純利益        ※時価総額=株価×発行済株式枚数

一般的にはPERは低いほど収益力に対して現在の株価が低いので割安でお買い得とされています。だからこそ投資入門的な本を読むと低PERの株を買って割安が解消されるまで待ち続けろみたいな投資手法が良く紹介されます。

ひろすけ
ひろすけ
僕も低PERの株を買い漁ったけど上がらなかった・・・

と言うように低PER株に投資しろと言われる割にはツールなんかでスクリーニングをかけて低PER株を買って持っていても全然上がらなかったり、下手すると含み損がどんどん増えていきます。そうなると結局PERって意味ないの??

と思う方も少なくないと思います。ただPERは株式投資において重要な指標である事には変わりません。しかしただ低ければ割安で買い時ではないのです。

という事で今回はなぜとにかく低PERの銘柄を買っておくという投資手法ではなかなか結果が出ないのかを見ていきましょう。

業種や時期によって基準が違う

「低PRRの銘柄に投資しましょう。」といったハウツー本やコラムでたまに何倍以下なら割安です。と言いきってしまっているものがあります。しかしPERの平均は全体の市場の過熱度合いや業種によって違いがあるので、特定の銘柄のPRRを算出した時に現在の平均や同業種との比較をしないと割高なのか割安なのかわかりません。

斜陽産業と成長産業の平均PRR

東証1部市場平均 15.4倍
情報・通信業 23.3倍
医薬品 23.6倍
鉄鋼業 9.9倍
建設業 9.9倍

これは2019年1月末の東証の平均PREと特定業種のPERです。平均は15.4倍ですが、業種によって平均にかなり差がある事が分ると思います。情報・通信や医薬品は一般的にはこれからも成長が期待される産業で鉄鋼業や建設業は特に国内では需要が減少していくと言われている業種です。いわゆる成長産業と斜陽産業になるわけですが、株式は将来への期待も含めて買われたり売られたりします。

その為株価も必然的に将来性が高いものほど株価が上がる傾向があります。つまり現在同じくらいの利益を出していたり、同じくらいの資産を持っていても将来性によって市場からの評価は変わってくるのが必然です。だからこそ上記のように同じ時期でも業種によってPERの平均が大きく違ってくるので、個別の銘柄に投資する時は同業種の平均PERくらいはチェックすると良いです。

とは言え多くの銘柄からスクリーニングをする時に業種別のPERまで気にしてスクリーニングをして候補を絞り込むと時間がかかるので、15倍や10倍を基準にする投資家さんも多いようです。時間効率を高める為に候補を絞り込む段階ではPERの基準を固定で10倍や15倍に設定するのは間違いではないと思います。

それでも業種によってPERが2倍以上変わってくる事もあるので、銘柄選定の詰めの段階ではある程度気にしてみるべきです。

市場全体の地合いでPERの平均が変化する

株式市場では全体的に株安や株高になる局面があります。そのような局面では必要以上に株が売られたり、買われたりして全体的にPERが低くなり過ぎたり高くなり過ぎたりします。もちろん売り込まれるだけの悪影響を受けている銘柄もあれば買いこまれるだけの要素がある銘柄もあるので個別に適正かどうかの判断は難しいです。

こういう状況下では平均のPERは大きく変化する事もあるので、非常時ほど全体のもしくは業種別のPERを把握して個別の銘柄を選ばないといけません。

致命的なマイナス要素がある

出している利益に対して低い株価に抑えられている事で低PERになっている銘柄には何らかのマイナス要素がある可能性があります。もしも何の問題もないのに低PERに抑えられていれば他の投資家もそれに気づいて買いが入る事でその割安になっている銘柄のギャップは埋まっていきます。

そうはならずにずっと割安状態が続いているという事は利益に対して株価が安い以上に何かしらのマイナス要素がある可能性があるという事です。もちろん割安状態で投資家にとって魅力的な状態で放置されている短い期間にたまたまその銘柄を見つけられる可能性もあります。しかし割安な状態なのに放置されているいるのは低PER以上にマイナスだと思われる要素があるのではないかと考えてみる必要があります。

例えば利益の割に株価が抑えられているが自己資本比率が低くくて倒産率が高めになっていたり、営業キャッシュフローがマイナスで売り上げを回収できているのか不透明だったりと何かしらのマイナス要素があるケースは珍しくありません。

さきほどの業種によってPERの平均に差があるという話に通じますが、その企業に問題があるというよりも業界全体の成長性が乏しい事で利益の割に安い株価に抑えられている銘柄もあります。特に露骨に今後数年間の利益が減少する事が分っている銘柄は近い将来の企業価値の低下が織り込まれて低PERになりがちです。

上場企業としてはそれほど多くはないかもしれませんが、法的には問題なくても倫理的に問題視されている経済活動をして利益をあげている企業もあります。今後法改正や社会全体からの圧力によって今までと同じように経済活動を行えない可能性もあるので、投資する候補にある銘柄がそのような企業でないか確認する事も大切です。

低PERに抑えられている銘柄にはこのような不安要素が割安度を上回っている銘柄もありますが、知名度が低くて割安感に多くの投資家に気づかれていない銘柄も少なくありません。また割安感があっても出来高の少ない小型株だと資金量の多い機関投資家はもちろん資金量の多い個人投資家も参入してこれない事もあるので、一般の個人投資家には割安になっている小型株は狙い目と言えます。その為常に割安に投資できる銘柄がないかチェックしておくのが良いです。

株価上昇のきっかけも重要

最終的に割安感が解消される銘柄であっても何かしらのきっかけで注目されるまでギャップが埋まらない事があります。その為実際に株価が上昇するには注目されるきっかけがあったり、徐々に割安感に気づく人が増えて株価が上昇して注目されないといけません。

保有して長い時間待つ事は資金効率の面から良くないと考えるならば割安でありさらに注目されるきっかけがある銘柄を選ぶ事が大切です。

株価のギャップが解消されるまで時間が必要

上場銘柄は1部市場から新興銘柄の市場まで合わせるとかなりの数になるので、単純にまだ注目度が低い事で割安状態になっている銘柄もあります。このような銘柄に投資してひたすらギャップが解消されるのを待つのも一つの投資手法として良い方法だと思います。

ギャップが解消されるのはすぐ1カ月後かもしれませんし、数年後かもしれません。その為資金が長期間拘束されて資金効率が悪いのも事実です。しかしその分銘柄の割安度がその他のマイナス要素を上回っていれば基本的に投資対象になるので、対象となる銘柄も見つけやすいです。多くの銘柄が候補になればその分だけ分散投資もしやすくなります。

資金量が多くてある程度複数の銘柄に資金を分散したい場合には単純に銘柄のマイナス要素と割安度を比べて割りが良いと判断した銘柄に投資していくのも良いでしょう。

株価のギャップが解消されるきっかけを狙う

特定の銘柄がマイナス要素以上に割安になっていてもそのギャップが解消されるまでどれだけ時間がかかるか分らない以上はそういた投資手法は資金効率が悪くなります。

そこでその銘柄が注目されるきっかけがあるかどうかも気にして銘柄を選定すると良いです。その銘柄が注目されるきっかけとは業績予想が上ブレした時に予想を修正する上方修正や新興市場から2部や1部の市場に上がる事や増配などが挙げられます。

赤字から黒字転換するタイミングや無配から配当金が発生するタイミングも企業が評価されて注目されるきっかけになります。

これらのきっかけになる事象が評価されて株価が上昇するだけでなく、それまであまり認知されていなかったその企業の割安度に多くの投資家が気づくきっかけになるのでより株価の上昇に拍車がかかります。

こうした投資法は割安で投資対象として魅力があるだけでなく、近い将来注目されて株価とのギャップが埋まるきっかけがあると予想される銘柄に絞られます。そうなるとただマイナス要素以上に割安で放置されている銘柄に投資してひたすら待つような手法よりも投資対象になる銘柄は限定されてくるデメリットだけはあります。

それでも投資をする上で資金が長期間一つの銘柄に拘束されるリスクが低くなるのは大きなメリットです。

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