JT株は高配当株の筆頭として個人投資家にもかなり人気のある銘柄ですが、気になるのは今後の配当がどうなるのか??という事ではないでしょうか??
ここまでの配当推移や業績からJT株の配当が今後どうなっていくのかを今回は見ていこうと思います。
日本たばこ産業(2914)概要
社名・証券コード | 日本たばこ産業(2914) |
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本社所在地 | 105-8422東京都港区虎ノ門2-2-1 |
代表 | 寺畠 正道 代表取締役兼CEO |
従業員数 | 19年12月時点 連結61975名 単体7464名 |
主要株主 | 財務大臣(33.3%) 自社(11.3%)
日本マスター信託口(4.4%)日本トラスティ信託口(2.7%) |
JTという名称で呼ばれることが多いですが、正式な社名は日本たばこ産業です。主要株主のところを見てもらうと財務大臣が最も保有割合の高い株主になっています。これは他の大手企業にも見られない状況で、たばこ産業の置かれる特殊な事情で財務省が株主になっています。
現在日本国内でたばこの生産ができるのはJTだけで、たばこ農家からの原材の仕入れなどある程度国から許可を得て価格設定する必要がある業界です。もちろん販売価格も勝手に変える事ができません。その為他の商品と違ってコンビニやスーパーで煙草が大安売りしているのを見た事がないと思います。
電力会社などに近いイメージで国内に限って言えば独占状態にあるのがJTが行っているたばこ産業です。
JTの事業内容
売上高 | 営業利益 | |
国内たばこ事業 | 5,689 | 1,872 |
海外たばこ事業 | 12,530 | 3,408 |
医療事業 | 885 | 159 |
加工食品事業 | 1586 | 54 |
利益の割合で言うと95%がたばこによる利益で医療事業と加工食品事業は全体の5%ほどにしか過ぎません。ただたばこ事業も国内に関しては需要減少と加熱式たばこのシェアをフィリップモリスの「アイコス」に取られている事から、近年苦戦が続いています。
海外のたばこ事業は割と好調であるものの他の事業の不調を補って、さらに増収増益に転じるほどの成長率はありません。海外でも国内とたばこ事情は似ていて、特に先進国では重課税と法規制でたばこの需要が減っています。
発展途上国では今もたばこの需要が高い地域や需要が伸びている地域もありますが、全体的に考えると世界的にも成長産業とは言いにくいです。こうした市場環境もあって、JTもたばこ以外の事業に力をいれてきました。しかしたばこ以外の事業はそれほど成長しておらず、たばこ事業に取って代わるような事業は育っていません。
JTの業績推移
売上 | 営業利益 | 1株利益 | |
15年12月期 | 2,252,884 | 565,229 | 270.5 |
16年12月期 | 2,143,287 | 593,329 | 235.5 |
17年12月期 | 2,139,653 | 561,101 | 219.1 |
18年12月期 | 2,215,962 | 564,984 | 215.3 |
19年12月期 | 2,175,626 | 502,355 | 196.0 |
大きく落ち込んでいるわけではないですが、徐々に売り上げを営業利益も減っていて業績好調とは言えないかと思います。今後加熱式たばこのシェアをフィリップモリスから奪おうとしてくるでしょうし、たばこの需要が底堅い国への積極的な進出も続いていくと思います。
しかしながら国内はもちろん世界全体でも斜陽産業と言わざるを得ない産業なので、他の分野の成長が無ければ大きく業績を伸ばしていくのは難しいと思います。とは言ってもたばこと言うユーザーをなかなか離さない特殊な製品を取り扱う事を許されていて、それも国内企業では唯一という独占状態です。この特殊な市場環境だからこそ2兆円の売上高を維持できていると思いますし、しばらくは株主も大きなリターンを得られ続けると思います。
JTへの投資をする人している人は今後のJTのたばこ事業とその他の分野への投資の状況を確認しながら投資判断をすると良いと思います。
JTの配当性向
1株利益 | 1株配当 | 配当性向 | |
15年12月期 | 270.5 | 118 | 43.6% |
16年12月期 | 235.5 | 130 | 55.2% |
17年12月期 | 219.1 | 140 | 63.8% |
18年12月期 | 215.3 | 150 | 69.6% |
19年12月期 | 196.0 | 154 | 78.5% |
JTの配当状況は年々増配していて配当性向も高くなっています。ただこれから投資する人に知っておいて欲しいのは、1株あたりの利益は年々減少している中で増配を繰り返している事です。
ここ5年で1株あたりの利益は3割近く減っている中で、配当は3割以上増えています。その結果純利益に占める配当の割合である配当性向は78.5%まで上昇しています。
減益増配という状況がずっと続いている以上このまま増配し続けるというのは難しいと思います。むしろ配当の増額を止めても利益が減っていけば、そのうち純利益を配当が上回ってしまいます。純利益を超えて配当を出してはいけないわけではないですが、資産を切り崩し続けるのも限界があるので長く続かないでしょう。
そうなると長期的に配当が維持されたりさらなる増配がされるには業績の回復が必要になってきます。
将来のJTの配当性向予想
JTの業績と配当は以下の傾向があります。
・増配が続いている
・1株あたりの利益は減少している
・配当性向は8割近くに到達している
ここ数年は増配を繰り返して高配当銘柄として注目を集めてきましたが、減益する中で配当性向を上げる事で増配できるのも限界かと思います。
今後も現在の配当を維持するのとさらなる増配を期待するのならば、業績の回復が必須だと思うのでJTの決算期には注目しておきしょう。