株式投資の手法

現物集中投資で株式投資をするメリット

よくリスク回避の為に分散投資をするべきという話が出てきます。もちろんこれは正解ですし、リスクを回避する為にも株式でも様々な銘柄に分散するのが好ましいという事です。しかし少額の資金から始めてそれなりに大きな資産を作りたいという人が資金が少ないうちから分散投資をしていてもなかなか資金は増えていきません。

だからこそあえて資金が少ないうちにある程度集中投資をするという選択もありだと思います。そこで今回は現物の集中投資に関して書いていこうと思います。

現物集中投資のメリット

ここでいう現物集中投資は1銘柄に全資金を投入するまでいかなくても3銘柄以下くらいに投資銘柄を絞り込む投資の事を言います。つまりルールとしては信用取引を使用せずに現物のみで3銘柄以内に絞り込むという事だけです。

分散してリスクを回避するというセオリーと逆をいく投資手法ではありますが、労働収入で充分回復させられる程度の低資金のうちは分散投資で5%前後の年利をとっていても資金効率がよくないです。その為ある程度の資金になるまでの時間を短縮する為に集中投資を行っていきます。ここから低資金のうちに現物集中投資を行うメリットや注意点を見ていきます。

低資金からの脱却が早期に可能になる

投資は株式投資に限らず同じ年利で運用しても元本が大きい方が利益は大きくなっています。つまり資金が大きい方が基本的には有利に資産運用ができるという事です。

年利5%で運用

元本100万円→年間5万円の利益

元本1億円→年間500万の利益

どうしても資金が少ないと利益は出ないので早期に低資金から脱却する事は大きな資産を作り上げる上で乗り越えたい壁でもあります。もちろん平均的な年収と比べてかなり高額な労働収入を得られている人はそこから大きな元本を捻出してリスクの低い投資を最初から行うのも良いと思います。

しかし多くの人が労働収入で最初から数千万や1億といった投資資金を用意するのは難しいと思います。だからこそ多くの個人投資家は決して多くない収入の中から資金を捻出して投資をしていくのです。

ただ低資金ではある程度リスクを分散しながらも安定して利益を出していても大きな資産を作り上げるのに時間がかかりすぎてしまうので、集中して投資をして20%や30%を超える利益を取りに行くのも戦略としてありだと思います。

数十万円という資金から億以上の資産を積み上げた投資家の中には低資産のうちに集中投資をしてその中で数倍からテンバガー(10倍株)を達成して大きく資産を増やした方は多くいらっしゃいます。

現物ならロスカットがない

現物で集中投資なら信用取引を利用して分散投資でも良いのではないかと思われ方もいると思います。それでも現物の集中投資をお勧めするのはロスカットされる事がないからです。信用取引だと最低の証拠金維持率を割り込むと強制的にポジションが決済されてしまいます。

これまでの歴史から考えてもその銘柄に直接ダメージを与える出来事でなくても市場全体が全面安になる○○ショックや○○危機と名付けられる暴落が起きて一時的に大きな含み損を抱える可能性があります。こうした大暴落はある程度落ち着いた時に元に戻って行くわけです。しかし信用取引を利用していてロスカットされれば市場全体が落ち着いて株価が戻っても強制決済されているので、大きな損失だけが残ります。

それが現物ならば一時的に大きな含み損を抱えてもロスカットされる事がないので、市場の混乱が落ち着くまでポジションを維持したまま待つ事ができます。市場の一時的な大暴落はどうする事もできないので、この時にロスカットにあわないというのは大きなメリットです。

銘柄の選定や管理がしやすい

多くの銘柄を保有する分散投資をした事がある人は経験があるかもしれませんが、多くの銘柄に分散する時は選ぶのも投資後の管理も大変です。投資した後は銘柄に関連するニュースや決算情報等を随時確認しながら利確する決断をしたり、時には買い増しをする決断をしないといけません。

銘柄を多く持っているほど情報の確認と判断を多く行わないといけないので手間と労力がかかりますが、これを集中投資に切り替えると常に2~3銘柄を監視すれば良いのでかなり楽になります。

銘柄を選定する段階でも大きなメリットがあって、10銘柄ほどに分散する時は多くの銘柄から10銘柄を選定する事になります。自分が選定した上位10銘柄に分散して投資するよりも上位2銘柄もしくは3銘柄に集中投資した方がパフォーマンスが高くなりやすいメリットもあります。

現物集中投資をする時に注意する事

現物集中投資は分散して銘柄を持つよりも年利が大きく取れるメリットがある反面で特定の銘柄に資金を集中させるので、リスクもあります。自分からリスクを取りにいっているからこそ少しでも不要なリスクを軽減できるようにしないといけません。

無理に株式を買わない

資金を少ない銘柄に集中させるだけに銘柄選びは慎重に行う必要があります。そのため取りあえずこの銘柄で良いだとかノーポジションは嫌だから不安材料はあるけど買ってしまおうといった考え方は危険です。分散投資をする時も同じですが、特に集中投資をする時は多くの候補から厳選した銘柄を選んで投資するべきです。

銘柄選定の基準は人それぞれですが、集中投資をする以上は倒産や上場廃止で株式の価値がなくなるのは絶対に避けたいです。そうならない為に破綻する可能性が高い銘柄にあえて投資するような極端な逆張り投資も集中投資をする上では避けた方が良いでしょう。

損切りラインを明確にする

集中投資した銘柄が大暴落を起こすと資金が集中させているだけに損失が出始めると大きな損失になりやすいです。そのため集中投資をする時は銘柄選定と同時に損切りのラインを明確にしておくべきです。運用資産を2から3銘柄以内に集中させておいて損切のラインが曖昧だと迷っているうちに損失が多きくなっていきます。

そうならない為にどこで損切りをするか銘柄を選ぶ段階でしっかり決めておくべきです。また損切りラインに決めた株価まで下がらなくてもその株を選んだ理由が崩れたら迷わず損切りをする方が良いです。最初に定めた損切りラインに逆指値を入れておくと安心かもしれません。

労働収入で補える資金量の間だけ

あくまで集中投資をするのは資金量が少ないうちだけにしてある程度の資産ができたら少しずつ分散投資に移っていくと良いです。どのくらいの資産を目安にリスク分散をしていくかは人それぞれだと思いますが、一つの目安として平均的な労働収入では取り返せない金額になってきたところでリスク分散を強めていくと良いと思います。

例えば年収が2000万以上とかある人ならば1000万円以上の資金でも数年で充分回復できるかもしれませんが、年収が300万円から400万円くらいの人が1000万円以上の資金を一気に飛ばした場合は再起不能ではないにしろ元本を再び用意するまでにかなり時間がかかります。その為自分の収入状況と運用資産の額を比較してリスク分散を進める方が効率的です。

最後に

今回は書いた集中投資は効果的に資金を増やしていく事が可能であるものの少ない銘柄に資金を集中する事はリスクも伴います。ただ現在メディアに出ている1億円以上の資産を作った投資家の方の中にも多くの銘柄を持たずにある程度銘柄を絞って集中投資する人も少なくありません。

投資に関する書籍などでは分散投資が全てのような書き方をしているものもありますが、集中投資にもメリットがあって一つの手法だと思います。もちろん損失ができた時の責任は自分に自身に降りかかってくるので、自分で納得できる投資手法を選択するのが一番です。

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