ファンダメンタルズ分析

株式投資で倒産リスクが低い安全な銘柄を探す方法

株式投資は競馬や競輪のようなギャンブルと違って、0か100かのような結果になる事は少ないですが、株式投資における最悪は投資した資金が0になる事です。投資資金が0になるのは倒産した時です。企業が倒産するのは資金がショートした時や債務超過に陥って事業継続が難しくなる時です。

債務超過は発生=倒産ではないですが、事業継続ができない状態になりやすい危険な状態と言えます。しかも上場企業の場合は企業が存続していても、債務超過が1年以上継続すると上場廃止になって、株式を市場で取引できなくなるので株式投資をする側からすると倒産までいかないまでもかなり痛手です。

大事な資産を失わないようにリスクの高い銘柄を選ばないようにする為の方法を紹介していきます。

債務超過に陥らない銘柄を選ぶ方法

貸借対照表は企業の資産や負債の状況を表すもので、バランスシートと呼ばれるものです。基本的には左が企業が持っている総資産で、右が総資産のなかの負債と純資産を表しています。債務超過に陥っていない通常の財務状態であれば、総資本=(負債+純資産)になって左側と右側が釣り合う形になります。事業を行う上で赤字を垂れ流し続けて、純資産を食いつぶして負債が総資産を上回る事があります。この状態を債務超過と言います。

債務超過になるとその時点で企業が持っている総資産を全て現金化しても負債を返しきれない状態になります。債務超過になったからといっても事業継続がすぐに不可能になるわけではありませんが、現金が枯渇して事業継続が不可能になる可能性が高い状態です。

東京証券取引所のルールとして債務超過に陥ると1年以内にそれを解消できなければ、上場廃止になってしまうので株式投資をするうえで投資家にとっても大きな損害です。

自己資本比率を確認する

自己資本比率は総資本のうち純資産がどのくらいあるかを表す指標です。自己資本比率が0%以下になるという事は、負債額が総資本を超えているという事なので債務超過を意味します。

自己資本比率=総資本÷自己資本

上の計算式で自己資本比率は計算できますが、一般的には40%以上あれば安全圏と言われています。逆に10%以下になってくると危険水域に入ってきます。

自己資本比率は四季報にも載っていますし、株式の情報サイトや証券会社のアプリからでも確認できるので自己資本比率が低すぎて、予想外の損失が出るタイミングがあると簡単に債務超過に陥るような企業でないか確認するべきです。

赤字を継続している成長株は特に注意

40%で安全圏と言いましたが、あくまで目安であって絶対に安全というわけではありません。成長企業の中には提供してる製品やサービスの普及を促して、利益を取るフェーズではなく事業を育てる投資フェーズだという方針で、赤字が拡大しても広告宣伝費や開発費や人件費を増やしていく企業があります。

こうした企業だと大きな赤字を出しながら市場でシェアを広げていって、増資ありきりで事業に投資しているケースもあります。投資する前の段階では自己資本比率が10%以上はあって、ただちに債務超過の危機はないように思えても現在の純資産を1年や2年で簡単に食い尽くして、債務超過に陥る可能性がある企業だとポジションを持った後に増資のリスクが高まります。

そのため自己資本比率だけでなく赤字企業の場合は、今年度と来年度の会社予想や市場予想から赤字額のおおよそを掴んだうえで、一気に債務超過に陥るような可能性がないか確認するべきです。

自己資本比率だけでなく現金にも注目する

債務超過のリスクがない銘柄を選べば倒産や上場廃止のリスクがなくなるわけではなく、現金が枯渇した場合も非常に危険です。むしろ債務超過よりも現金の枯渇の方がすぐに事業継続が不可能になるので、現金が枯渇するリスクは確実に把握しておかないといけません。

ただし自己資本比率だけでは現金をどれだけ持っているか分かりません。というのも自己資本は現金とは限らず、生産設備や売掛や棚卸資産など現金以外の資産も含まれるからです。自己資本比率が30%ほどで債務超過の危機でもないし、財務に問題がないと思っていたら、現金が枯渇していて取引先への支払いができなかったり、従業員への給与すら捻出できないとなれば事業継続が不可能になります。

債務超過で現金まで枯渇したならばどうしようもないですが、純資産があるなら現金化すれば良いです。

しかし全ての資産がすぐに現金化できるわけではありません。棚卸資産のように売上が積みあがらないと現金になっていかない資産もありますし、生産設備のような現金化すると現金不足は解消できても、その後の企業活動ができなくなるので実質売却できないような資産もあります。

もし投資先の企業の現金が枯渇すると事業の停止や増資のリスクがあるので、キャッシュフロー計算書や貸借対照表から現金のストックがどれだけあるか確認しましょう。

流動比率を確認する

流動比率は流動資産と流動負債の割合を示す指標です。まず流動資産は1年以内に現金化できる資産の事で、流動負債は1年以内に返済が必要な負債の事です。流動比率が高いほど1年以内に返済する負債に対して1年以内に現金化できる資産が多いという事です。流動比率の安全圏は200%以上だと言われています。200%となると流動資産が流動負債の2倍にとなるので、150%以上あれば比較的安全と言えます。

流動比率=流動資産÷流動負債×100

という計算式になるので、上の例だと

1922688÷546488×100=351%になります。

上の例だと流動比率が351%という事で流動資産が流動負債の3.5倍ほどになります。351%という水準なら安全圏と言えます。

現金資産の量にも注目する

流動資産は現金ではなく1年以内に現金化できる資産であるので明日、明後日に現金が必要になった場合に現金以外の流動資産を現金として手元に置いておける保証はありません。そのため1年以内に返済する負債と1年以内に現金化できる資産の割合である流動比率だけでなく、流動負債に対して現金資産や売掛金などの特に現金化しやすい資産がどれだけあるかも気にするべきです。

この理由は流動資産の中には棚卸資産のような商品が売れないと現金化されないような、流動資産の中では現金化しにくい資産もあるからです。

例えば流動負債が100億円で流動資産も100億円の企業が2つあったとします。単純に流動比率を計算するといずれも100%になります。

A社の流動資産の内訳が現金20億、棚卸資産80億

B社の流動資産の内訳が現金80億、棚卸資産20億円

このケースでは現金や売掛金や受取手形など流動資産の中でも特に現金化しやすい資産に大きな差があります。上の例の場合は流動資産は同じ100億ですが、B社と比べてA社は棚卸資産がかなり多いので、資金ショートのリスクが少し高いと言えます。

これほど極端な例はないかもしれませんが、流動資産に占める現金の比率がかなり低い場合もあるので、流動比率だけでなく現金と売掛金など特に現金化しやすい資産である当座資産がどれだけあるかも確認するべきです。

流動負債に対して当座資産がどれだけあるかを表す指標として、当座比率があります。

当座比率=当座資産÷流動負債×100

確実にここより上ではないと危険というラインはないですが、流動資産が充分なように見えて実は棚卸資産を大量に抱えているだけのような企業に投資しないように流動資産の内訳も確認する事が重要です。

まとめ

倒産や投資後の増資リスクを回避するために

・自己資本比率

・流動比率

・当座比率

最低限この3つは確認するべきです。赤字を垂れ流しながら成長性を重視する企業には急激に財務が悪化していて、増資リスクが高い企業もあります。

そのため会社の計画を確認して一気に資産を食いつぶすような無理な成長戦略や増資ありきのような、計画になっていないか中期経営計画や決算説明資料を確認しましょう。

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