ファンダメンタルズ分析

株価の成長性はPEGレシオで判断する

株式投資をする時の銘柄選びの中で、PERやPBRのような現在の株価に対してどのくらいの利益を出しているか、或いはどのくらいの純資産を持っているかという割安度を計る指標だけでなく、成長性という部分を評価する事はかなり重要です。

銘柄の判断基準に絶対これが優先というものはないかもしれませんが、個人的には金融緩和が進んでグロース株が有利な時期ならば、割安度よりも成長性が重要だと思っています。しかしファンダメンタルズ分析で最初に学ぶようなPERやPBRはあくまでも現在の株価と純利益や純資産をもとに算出された指標であるために、直近の成長性を加味していません。

そこで使えるのがPEGレシオで直近の成長性基準に割安度を指標化したものです。これを参考にする事で、株を買う時にその企業が事業を成長させようとする意欲があるのか??そして事業成長させる為のプロセスは結果として正解だったのか??という部分まで見えてきます。

PEGレシオとはどんな指標か??

まずはPEGレシオの計算式がこちらです。

PEGレシオ=EPS成長率÷PER

上の計算式になるわけですが、EPS成長率というのは純利益の伸び率の事です。これは過去の何年分と決まっているわけではありませんが、3年や5年くらいが一番多いかと思います。過去10年に遡ってEPS成長率を出したいという人は、過去10年分のものを計算に使っても問題ありません。

例えば

2018年 純利益100億円

2019年 純利益120億円

2020年 純利益134億円

これだと2018年から2019年のEPS成長率が+20%で2019年から2020年が+10%なので、15%÷PERがPEGレシオという事になります。

PEGレシオは数字が小さい方が成長性の割に割安で放置されている事を示します。

PEGレシオは何倍くらいを目安にするのか??

PEGレシオもPERと同様にセグメントによっても平均が違いますし、その時の市況によっても平均が大きく変わってしまいます。一応日経平均225や日経400に採用されている大企業の銘柄では、1倍台後半から2倍後半くらいまでが目安です。

ただしこれは目安であるので実際は競合の他社や同じセグメントの大手と比べて、比較する方が良いです。どうしてもリーマンショックやコロナショックのようなタイミングだと、市場混乱して業績的に問題ない銘柄までパニック的に売られてしまいます。それ以外にも特定のセグメントに有利または不利なニュースが出て、一時的に売り込まれる事もあります。

そこで平均値はこの数字だからと言ってPEGレシオを活用すると、銘柄を過小評価したり過大評価する事に繋がります。リスクを抑える為にはあくまでも比較して使う事が重要です。

PEGレシオでも特別損益には注意

PEGレシオもPERを計算の中に入れています。そのためPERが一時的な損益である特別利益または特別損失によって影響されると、PEGレシオも影響されます。そのためPEGレシオを使う時も、特別利益や損失によって大きく純利益が伸びたり落ち込んだりしていないか注意するべきです。

もし特別損益による影響でPERが大きく上振れや下振れしていると思ったら、特別損益を除いた計算でPERを出してからPEGレシオの計算をすると良いでしょう。

PEGレシオの活用方法

上記でも少し書きましたが平均値自体が市況やセグメントで大きく異なるので、固定の数値と比べるのではなく、候補になっている他の銘柄のPEGレシオと比較して判断材料にする方がより正しく成長性と現在の株価の水準を把握しやすいです。

特別損益に関してはあまりにも本業による利益や継続的に入ってくる営業外利益や損失だけの経常利益とかけ離れてしまうので、場合によっては修正しています。ただし僕はそうしてるというだけで、そのやり方が必ずしも正しいわけではありません。

実際に特別利益や特別損失は実際に最終益に影響しているので、一時的なものであっても省かずに計算するのも正解です。

PEGレシオと企業の成長性のギャップを見つける

PEGレシオの数字だけを比べて倍率の低いものを選んでいくというやり方だと、何かそれ以上の悪材料があったり、もしあっても放置されている時間は短いです。大切なのは決算短信や決算説明資料から、今後純利益が伸びていく可能性があるのに折り込まれずにPEGレシオが低い水準で放置されている銘柄を探す事です。

実際に結果が出てからでは買われてしまうので、それほど大きなリターンは期待できません。ただし今後結果が出る可能性が高い材料を決算説明資料や決算短信から読み取れれば、先んじて投資する事が可能です。

PEGレシオと潜在的な成長性を探る

企業が成長する過程にはいくつもの決断があって、それに対して結果が出てきます。そのためいくつかのパターンに当てはめる事はできませんが、どういう形でPEGレシオを使って銘柄選定をするのか例として1つ出していきます。

A社とB社があって同じように資格取得の教材を販売している企業だとします。

A社、B社ともに教材の販売を紙のテキストから、クラウド化さらにはサブスクリプション化して複数の資格取得を目指す人を囲い込む戦略を取ったとします。同じビジネスモデルの企業の中で、こうした取り組みを今期からするのはA社、B社のみです。

ここで期待できるのはクラウド化によってコストが削減されて、売上あたりの粗利益の向上とサブスクリプション化によるシェアの拡大です。同じような教材販売をしている企業の中でも、この2社は今期から取り組む二つの施策の効果で売上高も売上総利益も上げながら、営業費用は据え置きで最終的に純利益を大きく伸ばせると予想しました。

その上でPEGレシオを確認するとA社は1.2倍に対してB社は1.6倍でした。両社とも過去の純利益から計算されたPEGレシオから考えると割安ではなくても、今期以降の成長性を考えれば割安に評価されているようにも思えます。

両方に資金を振り分けるという方法もありますが、あえてどちらかを選ぶならばA社の方が成長性の割に割安だと判断できます。

もちろん実際はこれほど単純ではなく、もっと多くの要素を総合的に考えないといけません。それでも最低限事業内容や今後業績向上をもたらす要素を把握した上で、PEGレシオで割安度を計る必要はあります。

まとめ

PEGレシオは成長性に対して株価の割安度を計る指標ですが、単純に何倍以下なら割安と言えるものではありません。当然PEGレシオだけで銘柄選定をすること自体おすすめしませんが、PEGレシオの活用だけに絞って考えれば候補の銘柄を比較するような使い方が良いです。

この時はセグメントやビジネスモデルが似通っている方がより比較しやすいです。あまりにセグメントもビジネスモデルも違うと、比較した時にセグメント間の平均PEGレシオも加味しないといけないので、判断がしにくくなります。

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