毎年2月の後半から3月前半には確定申告がありますが、個人事業主の方なんかは面倒な季節だと思う人も多いでしょう。会社員の場合は基本的に確定申告は会社で行う場合が殆どだと思うので、心配する必要はありません。しかし株式の取引をしているサラリーマンは株式での譲渡益や配当金があるので、確定申告の心配をする人もいるかと思います。
結論から言うとサラリーマンが株式投資をした場合には自分で確定申告をしないといけないケースと確定申告をしなくても良いケースとしなくても良いけどした方が良いケースの3つのパターンがあります。
この3つのパターンについて今回は説明していこうと思います。
まず大前提として源泉徴収ありの特定口座を証券会社で開設している事が必要です。基本的に証券会社は源泉徴収ありの特定口座を推奨しているので、特に理由がなければこの源泉徴収ありの特定口座を開設するのがおすすめです。
源泉徴収なしの特定口座や一般口座を開設して株の取引をしている人は下の条件には当てはまらないので、確定申告を行う必要があります。
確定申告をしなくて良いケース
確定申告をする必要がないケースは以下の二つです。
・1つの証券口座を利用して年間通算で利益が出ている場合
・複数の証券口座を利用していずれも利益が出ている場合
この場合は当然税金が発生しますが、証券会社の方でやってもらえます。
ちなみに源泉徴収ありの特定口座以外で取引をしている場合でも一カ所から給与所得を得ていて給与所得が年間2000万円以下の条件なら年間の株式による譲渡所得が年間で20万円以下の場合は申告が不要になります。
つまり会社員をしていて一つの会社から年間で500万円ほどの給与を受けていて仮に年間で10万円の株式の譲渡益があるとします。この時に源泉徴収なしの特定口座もしくは一般口座で取引していても確定申告が不要だという事です。
ただし複数から給与を貰っている場合は給与所得が2000万円以上のケースは当てはまらないので、注意が必要です。
確定申告が必要なケース
上でも書いたので繰り返しになってしまいますが、源泉徴収ありの特定口座を開設していない場合は自分で確定申告が必要になるので必ず申告しましょう。
あまり確定申告を自分で行った事がない人だと所得の申告を軽く考えている人もいますが、個人の株式投資でも利益が出ているのに申告しなければ当然罰則があるので確実に申しておきましょう。
源泉徴収ありの特定口座の場合は確定申告をした方が得な事はあってもしない事で違法になる事はないので、心配な方は源泉徴収ありの特定口座を選ぶべきです。
確定申告をした方が良いケース
源泉徴収ありの特定口座を開設して取引している場合でも確定申告をした方が得になる場合があります。
①株式取引で損失がある場合
②複数の証券口座を利用して利益が出ている口座と損失が出ている口座がある
まず①の場合のように損をしているのになぜ確定申告をした方が良いのかと言うと損失を最大3年間繰り越しする事ができるからです。
例えば1年目に100万円の損失を出して確定申告をしておきます。その後2年目に50万円の利益を出すと前年の損失で控除されて税金が発生しません。さらに2年目に50万円控除されてもまだ1年目の損失のうち50万円が残っているので、3年目に50万円の利益が出ればそれも控除されます。
損失が残っているうちは毎年確定申告をしておく必要があるので、上の例では50万円の利益が出た2年目も確定申告しておく必要があります。最大で3年間は繰り越して控除できますが、一度損失を申告しても毎年申告しないといけないので注意が必要です。
ちなみに損失が出た時は確定申告をしなくても良いですが、翌年以降の利益が出た時に損なので株式の取引で損失が出た時は確定申告をおすすめします。
②ケースでは源泉徴収ありの特定口座を開設している事で本来よりも多くの税金を払わされていたり、損失が出ているのに税金を払っているケースが一時的に発生します。確定申告をする事で一時的に発生した払い過ぎの税金を取り戻す事ができます。
例えば証券会社A社で年間に100万円の利益を出してB社で200万円の損失を出したとします。トータルでは100万円の損失なので当然税金は発生しないはずです。しかし源泉徴収ありの特定口座ではその口座内で出た利益に対して源泉徴収を行っても他の証券会社での取り引きまでは把握できません。従って証券会社A社はB社での200万円の損失は考慮せずに100万円の利益に対して課税したままにします。
これを確定申告せずに放置すれば年間で100万円の損失が出ているのに何故か100万円の利益が出た時と同じ税金を支払う事になってしまいます。
他にもA社で200万円利益が出てB社で100万の損失が出た場合もA社の口座で徴収されている200万の利益に対する税金のうち100万円分は返してもらえます。これも申告しなければA社はB社での損失を知らないので、実際の倍の課税額を支払ったままになってしまいます。
まとめ
確定申告が絶対必要な時だけでなく、申告をする事で払う必要のない税金を取り戻す事ができます。普段確定申告を自分でやらない人からしたら面倒ではあります。
しかしサラリーマンをやりながら少額の余剰資金で投資をしている場合でも長年続けているとしっかり申告している人としていない人ではかなり差がついてくるので、年に1回の確定申告はしっかりやっておきましょう。