株式の銘柄分析

ペッパーフードサービス(いきなりステーキ)の株価復活と債務超過解消

いきなりステーキを運営するペッパーフードサービスの分析記事を過去に書きましたが、その後は予想通り債務超過に陥りました。業績の方もコロナ禍の影響を受けてる業種なだけに、かなりダメージを受けています。

現在のペッパーフードサービスの状況と今後の倒産リスクや株主優待の廃止のリスクなどについて解説していきます。

ペッパーフードサービス(いきなりステーキ)の業績

ペッパーフードサービス(いきなりステーキ)は12月決算という事で、この記事を書いている2021年2月18日現在は2020年12月期の決算が発表されています。

2020年1月~12月                                                                        (百万円)

売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 1株利益
2020年12月 31,085 △4,025 △3,904 △3,955 △164
2019年12月 66,879 213 245 △2,663 △126

 

2021年1月~12月 会社予想業績

売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 1株利益
第2四半期 10,559 △866 △220 △381 △15.8
通期 24,153 △364 217 54 2.25

 

結果から言うと大幅な減収減益で40億円近い赤字を出しています。大きな要因は2つあります。

コロナ禍による営業規制や客足の低下

コロナ禍による影響は外食産業全体を直撃していて、営業時間の短縮や大型のショッピングセンターに入っている店舗では早い段階で営業を停止している店舗もありました。さらに営業をしていても、自粛の影響でいつもよりも客足が少ない状態が続いていました。

郊外のショッピングセンターに入ってる店舗も多いですが、郊外型ばかりではなく都市部にも密集するように店舗があります。コロナ禍の影響で都市部から郊外に人が流れたことで、郊外の複合施設以外の店舗も大打撃を受けています。

店舗集中で営業利益の低下

いきなりステーキの店舗は特に都市部のエリアで急激に拡大していって、狭いエリアにいきなりステーキの店舗が複数あるという状況ができていました。結果的に店舗を増やす事による売上高の上昇よりも、営業費用が増えて大幅な営業赤字になっています。

店舗間で顧客の奪い合いになっているという事で、余剰店舗の整理と人員整理を進めてはいるものの、退店費用やリストラ費用で2020年12月期は大きな負担になっています。

ペッパーフードサービスの債務超過は解消された

ペッパーフードサービスは2019年にもMSワラントで資金調達しました。しかし2020年にコロナウィルスの影響を受けてしまって、会社計画通りに進捗していかず債務超過になりました。

その後ペッパーランチの事業も売却して、2020年後半には再びMSワラントによって約100億円ほどの資金調達して債務超過を解消しました。上場廃止のリスクは取りあえず回避したものの、財務状態は良いとは言えない状態です。

自己資本比率は約3%

MSワラントとペッパーランチ事業(株式会社JP)の売却で債務超過は回避したものの、2020年12月期の通期決算時点で、自己資本比率は3.1%です。基本的に10%以下で危険水域と呼ばれるので、少し計画が狂えばまたも債務超過と言う可能性も否定できません。

2021年は計画通りにいけば再び債務超過に陥る危険性は低そうですが、コロナウィルスの影響が結局長引いたりして、業績が下振れするとまたも債務超過に陥る可能性があります。コロナウィルスのワクチンが出回り始めたのと、増資が決まって債務超過を解消したことでリスクは下がりましたが、依然としてそれなりのリスクはあると考えられます。

現金の比率も少し心配

総資産が144億円これに対して1年に以内に支払う負債である流動負債は98億円で、1年以内に換金できる流動資産が76億円でうち現金が55億円という事で、現金の枯渇も若干心配ではあります。

売却したペッパーランチの売却収入はまだ全部入ったわけではないようですし、ある程度本業の方が上手く回れば問題はなさそうです。

まとめ

・自己資本比率は3%ほどで未だ危険水域

・流動資産に対して流動負債が多くて少し心配

・2021年12月期の業績が会社予想通りにいくか注目

自己資本比率も3%ほどで流動比率も77%と財務の面では債務超過を解消したとは言え、かなり不安な状態です。今後の四半期ごとの決算で会社予想通りに本業の利益が推移しているかをしっかり確認するべきです。

さらにいきなりステーキの店舗は徐々に整理しながら費用の削減に動くと思いますが、退店には費用もかかるので今の状況を考えると一気に整理するのは難しそうです。本業の収益力の回復と店舗の整理をバランス良く行えるかがポイントになりそうです。

優待利回りも高い状態で放置されているので、魅力にも感じますが僕はしばらく静観しようかと思います。

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